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肺転移が認められた乳腺腫瘍の柴犬の治療

投稿日時:
更新日時:
柴犬
  • 病名:乳腺腫瘍
  • 犬種:柴犬
  • 性別:避妊メス
  • 年齢:12歳

1年前に乳腺腫瘍ができたので避妊手術と左側の乳腺を下半分切除したが、この1ヶ月で左側に再び出来てどんどん大きくなっている、触ると痛がるとのことで受診されました。

犬の乳腺腫瘍とは?

犬でよく見られる腫瘍で、避妊手術(卵巣子宮摘出術)を実施することで発生が抑えられることが知られています。ただし4回目の発情後や2.5歳以降の避妊手術では腫瘍の予防効果があまりないとされ、早期の避妊手術が腫瘍発生に対して予防効果のある腫瘍だと言われています。

治療方法

腫瘍の進行度、悪性度や本人の体力により外科治療、内科治療、放射線治療を選択します。

治療計画と結果

今回の乳腺腫瘍は肺転移が認められるステージ5/5と言われる最終ステージになります。すでに別の場所に腫瘍細胞が飛んでいってしまっているので、腫瘍を根治することはできません。

ですが、このまま腫瘍を放置しておくと近いうちに腫瘤が破れる可能性が高いこと、本人の痛みをとってあげることを目的に緩和治療としての腫瘍切除を実施し、肺の転移病変に関しては進行の進行を抑えるために点滴で化学療法(抗がん剤)を行いました。

このように今回のケースでは、いくつかの治療を組み合わせた集学的治療を行いました。

治療結果と今後の展望

手術後、痛みが取れたのか元気になった気がするとのことでした。抜糸した後、肺転移の病変に対して化学療法(抗がん剤)を実施し、術後約半年間乳腺に再発はなく元気に過ごしてくれました。

終わりに

乳腺のしこりは大きくなっていても外科的に切除できる可能性があります。どうしていいか困った時には一度連れてきてあげてください。そして、もし出産を考えていないのであれば、若く元気なうちの避妊手術について一度考えてみてあげてはいかがでしょうか。

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