生後6ヶ月の柴犬の永久歯が生え揃ってきたにも関わらず乳歯が抜けずに残っているので、避妊手術と同時に乳歯を抜いて欲しいとのことで受診されました。
乳歯遺残は犬の乳歯が永久歯に生え変わっても抜けずに歯茎に残っている状態で、歯の生え変わり時期によくあるトラブルです。
通常、犬では生後6-7ヶ月で永久歯が生え揃います。
永久歯が出ているのに乳歯が残っている場合、噛み合わせが悪くなったり歯周病になりやすくなる不正咬合(ふせいこうごう)の原因となります。
不正咬合は永久歯と乳歯の間に歯石・歯垢が溜まりやすく、永久歯の生える角度によっては口の中を傷つけてしまう場合もあります。
獣医師は乳歯の状態を診て抜歯の必要性を判断します。
抜歯が必要と判断された場合は麻酔をかけて残っている乳歯を抜歯します。
今回は乳歯がたくさん残っていること、月齢から考えて永久歯は正しい位置に戻らない可能性も考えられましたが、乳歯遺残による歯肉炎のリスクを考え、麻酔が必要な避妊手術と同時に抜歯することになりました。
乳歯を抜いたことにより永久歯のみになりました。
今回のケースでは永久歯が正常の位置に完全には戻らず、少し口の内側に位置しましたが、生活においては全く問題なく、現在も元気にドライフードを食べています。
乳歯遺残の時期は検診やワクチン、 避妊手術や去勢手術を検討する時期と重なり、避妊手術・去勢手術のついでに乳歯抜歯を行う事が多いです。
飼い主様やご家族様でも比較的気付きやすい症状ですので、もし見つかった場合は、早めにに獣医師に診てもらう事をおすすめします。