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甲状腺機能亢進症の猫の治療

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更新日時:
甲状腺機能亢進症の猫
  • 診療:甲状腺機能亢進症
  • 猫種:アメリカンショートヘア
  • 性別:去勢オス
  • 年齢:12歳

『下痢が治らず、食べるのに痩せる』とのことで受診されたアメリカンショートヘアを検査したところ甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)が見つかりました。

絶対に薬を飲んでくれない性格のため、手術で治療を行った症例をご紹介します。

猫の甲状腺機能亢進症とは?

猫の甲状腺機能亢進症の治療

甲状腺は喉の少し下に左右一つずつあり、体の新陳代謝を活発にするホルモンを作っています。高齢の猫では甲状腺が大きくなり、ホルモンの分泌が増えてしまうことがあります。体を活発にするホルモンですので、一見すると若返ったように見えることがありますが、無理をしている状態ですので体はどんどん疲れていってしまいます。

甲状腺機能亢進症の症状

『元気でよく食べるけど痩せてくる』という症状がよくある症状ですが、必ずそうなるわけではありません。症状は様々で、元気や食欲がなくなる場合もありますし、嘔吐や下痢が主症状といった場合もあります。

  • 胃腸を活発にすれば下痢や嘔吐につながります。
  • 心臓を活発にすれば脈拍が多くなります。
  • 神経が活発になれば興奮しやすくなります。

症状が一定しないため、早期には分かりにくい病気かもしれません。

猫の甲状腺機能亢進症の治療方法

猫の甲状腺機能亢進症

当院では猫の性格や内臓(特に腎臓)の状態により、甲状腺を摘出する外科治療、甲状腺ホルモンの合成を抑える内科治療のどちらの治療で進めるかを飼い主様やご家族様と相談し決定します。

治療計画

今回の甲状腺機能亢進症のケースは、飼い猫が絶対に薬を飲んでくれない性格なので、できるだけ薬を与えなくても大丈夫な生活をしたいという希望がありました。今回は幸いなことに、片方の甲状腺だけが大きくなっており、もう片側に問題はなかったため、大きな方の甲状腺を摘出する外科治療を選択しました。

治療の結果と今後の展望

術後4日間入院と検査を行い、残ったもう片方の甲状腺がホルモンを作っていることが確認できたので無事に退院となりました。

現在は下痢も止まり、体重もしっかり増えましたので、定期的な血液検査で経過を見ています。

甲状腺機能亢進症は比較的高齢になってから起こる病気なので、麻酔が必要な外科治療を迷いそうになりますが、腎臓に負担がかかる前に外科治療を実施できた場合、内科治療よりも寿命が長くなるというデータがあります。

早期発見のためにも、元気に痩せていく猫には早めの受診を検討してあげてください。

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