普段より呼吸が速いことを心配され、来院されたミニチュアダックスフンドの症例です。
ワンちゃんで最も多くみられる心臓病である『僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)』の影響で肺に水がたまる『肺水腫(はいすいしゅ)』を起こし、呼吸が速くなっていることがわかりました。
心臓の収縮力を高める薬と、体内の余分な水分を尿として排出する薬による治療を開始したところ、翌日には呼吸状態が改善しました。2週間後の検査では肺にたまっていた余分な水分もなくなり、呼吸も普段どおりの安定した状態に戻りました。
運動後や興奮したときに一時的に呼吸が速くなることはあります。
しかし、安静時や睡眠中にも普段より呼吸が速い状態が続く場合は、様子を見ずに動物病院へご相談ください。
呼吸の変化には、今回の症例のような心臓病や肺水腫など、早急な治療が必要な病気が隠れていることがあります。

僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)は、ワンちゃんに最も多くみられる心臓病で、特に高齢の小型犬で多く発生します。
心臓には、血液の逆流を防ぐための弁があります。僧帽弁閉鎖不全症では、この弁がうまく閉じなくなることで血液の逆流が起こり、病気が進行すると咳や呼吸の異常など、さまざまな症状がみられるようになります。
呼吸数が増えており、聴診では心臓の異常音が確認されたため、胸部のレントゲン検査と心臓の超音波検査を行いました。
胸部レントゲン検査では肺に白い影がみられ、肺水腫が疑われました。
心臓の超音波検査では、僧帽弁からの血液の逆流と心臓の拡大が確認され、僧帽弁閉鎖不全症による心原性肺水腫と診断しました。
心臓の収縮力を強めるための強心薬と、肺にたまった余分な水分を尿として排出し、うっ血を改善するための利尿薬を使用しました。

治療を開始したところ、翌日には呼吸状態が改善しました。
さらに、2週間後の検査では肺にたまっていた水分もなくなり、呼吸も普段どおりの安定した状態に戻りました。
肺水腫が改善したあとは、利尿薬を中止することができ、現在は心臓の収縮力を高める薬のみで、安定した状態を維持しています。
今回は比較的早い段階で受診していただけたため、通院で治療することができました。
しかし、肺水腫は状態によってICU(集中治療室)での入院治療が必要になることもある、緊急性の高い病気です。
安静にしていても呼吸が速い、息苦しそうにしているなど、普段と異なる呼吸の様子がみられた場合は、様子を見ず、できるだけ早めにご来院ください。
特に次の症状がみられる場合は、様子を見ず、できるだけ早く受診してください。
・お腹を大きく動かして、苦しそうに呼吸している
・口を開けて呼吸する
・舌や歯ぐきが青白い、または紫色になっている
高齢のワンちゃんの場合、呼吸の変化を「年齢のせい」と決めつけないことが大切です。
安静時や睡眠中にも呼吸が普段より速い場合は、心臓病や肺の病気が隠れている可能性があります。
寝ているときの呼吸数が増えている、呼吸が苦しそう、咳が出る、元気や食欲の低下しているなどの変化がみられる場合は、早めに動物病院へご相談ください。
山の辺いぬねこクリニックでは、犬・猫の呼吸のトラブルに対して、症状や生活環境に合わせた治療をご提案しています。
天理市をはじめ、奈良県内で『呼吸が普段より速い』『呼吸が苦しそう』などの異変が気になる場合は、早めにご相談ください。
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緊急の場合やお急ぎの方は、直接お電話にてご相談お願いいたします。
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