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舌に癌(がん)が発生した犬の治療

投稿日時:
更新日時:
舌に悪性リンパ腫が発生した犬

  • 病名:舌のリンパ種
  • 犬種:ミックス犬
  • 性別:オス
  • 年齢:13歳

愛犬の舌に腫瘍のようなできものがあるのをご家族様が見つけられ、ごはんやおやつを食べにくそうにしている様子や、睡眠中のいびきが増えたことを心配されて来院されました。
今回は舌のリンパ腫の治療に関する症例を紹介いたします。

舌のできものについて

リンパ種(がん)

舌に発生するできものには、腫瘍とそうでないものが同程度に見られます。腫瘍の中でも悪性のものとして多く見られるのは、扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)や悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)です。

今回のワンちゃんは、リンパ腫という比較的少ない症例の悪性腫瘍でした。リンパ球という免疫細胞が異常増殖することによって発生する腫瘍で、治療には特別なアプローチが必要となります。

診断結果と治療計画

悪性リンパ腫の治療

診断には細い針を使って、できものの細胞を採取する細胞診や、できものを部分的に切除して検査する生検を行います。リンパ腫と診断された場合には、さらに遺伝子検査などを行い、リンパ腫の詳細な特性を調べます。

これにより、外科的治療や化学療法などの内科的治療の具体的な内容が決定されます。

治療の結果と経過

犬のリンパ種を切除

外科的治療(腫瘤摘出手術)

今回は、まず舌の腫瘤を摘出し、採取した組織や細胞を顕微鏡で観察する病理検査を行いました。
病理検査の結果、リンパ腫と確定診断されたため抗がん剤を使用した化学療法を開始することとなりました。

化学療法(抗がん剤)

今回の化学療法(抗がん剤)は、3種類の抗がん剤を使用します。最初の2ヶ月間は1週間ごとに、次の4ヶ月間は2週間ごとに投与します。

犬や猫に使用する抗がん剤は、人間に比べて少ない量を使用します。
そのため、吐き気や下痢といった副作用は、一般的に3~5日間ほどで、人間よりも軽く済むことが多いです。しかし、それでも副作用は辛いものであり、重い症状が出ることもあります。このため、副作用を抑えたり軽減するための薬を、適切なタイミングで併用します。

副作用が心配だからといって、最初から抗がん剤の量を減らすと、腫瘍に対する効果が十分に得られません。そのため、まずは抗がん剤の効果を発揮しながら、副作用を抑えることを目標に治療を進めます。もし副作用が強く出たり、抗がん剤が効果を示さない場合は、薬の量を調整したり、別の薬に変更することで、最適な治療法を探していきます。

また、一度抗がん剤治療を始めたからといって、必ずしも続けなければならないわけではありません。抗がん剤治療はいつでも中止することができます。

抗がん剤治療の目的は、がんと共存しながら、これからもご家族様と楽しい時間を過ごせるようにすることです。無理に辛い治療を続ける必要はありません。その場合は、抗がん剤治療を選ばずに、最後まで人と動物が少しでも自分らしく過ごせるような緩和治療をご提案いたします。

今回は、化学療法(抗がん剤を使用した治療)を6ヶ月間続けたかいがあり、舌のしこりは完全に消失しました。
現在では、食欲も戻り、元気に日常生活を送れているようです。

ご家族様へのアドバイス

今回のケースでは、外科的治療と化学療法によって舌のしこりがなくなり、元気な姿を取り戻すことができました。

ただ、リンパ腫は再発することもあるため、定期的な経過観察が必要です。ご家族様には、定期検診を続けることをお勧めしています。また、舌にしこりや違和感を見つけた時には、早期の受診が重要です。早期発見・早期治療が、ワンちゃんの健康を守るための鍵となります。

ご家族様におかれましても、愛犬の健康状態に注意を払い、少しでも気になる症状が見られた場合には、かかりつけの動物病院へご相談ください。当院では専門的な診断と治療を提供し、大切な家族の一員であるペットの健康をサポートいたします。

お問合わせとご予約

当動物病院は予約優先で診察しております。事前にWEBまたはお電話からご予約ください。
緊急の場合やお急ぎの方は、直接お電話にてご相談お願いいたします。

■山の辺いぬねこクリニック
電話:0743-85-6361
住所:奈良県天理市西井戸堂町455-2

■WEB予約はこちらから
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