眼の周りの腫れや赤みを何度か繰り返していたミックス犬の症例です。
ご来院時には、両眼のまぶた全体に赤みと腫れが見られました。特徴的な症状や経過、治療への反応から総合的に判断し、免疫介在性眼瞼炎と診断しました。
免疫抑制剤、抗生剤、温罨法による治療を行ったところ、治療開始から2週間ほどで腫れが引き始め、3ヶ月後にはほぼ正常なまぶたの状態まで改善しました。現在は、免疫抑制剤と温罨法を継続しながら、良好な状態を維持しています。
犬の眼の周りやまぶたの腫れは、一時的な炎症で治まることもありますが、何度も同じような症状を繰り返す場合は注意が必要です。
まぶたの腫れには、ものもらい、アレルギー、細菌感染、まぶたの分泌腺の異常、免疫が関係する病気など、さまざまな原因があります。
特に、両眼のまぶたが広い範囲で腫れている、赤みが強い、治療すると一度良くなるものの再発する、といった場合には、単なる炎症ではなく、免疫が関係した病気が隠れていることもあります。
腫れたまぶたは見た目の問題だけでなく、違和感や痛みにつながることもあるため、症状を繰り返す場合は早めに動物病院で原因を確認することが大切です。

免疫介在性眼瞼炎(めんえきかいざいせいがんけんえん)とは、自分の免疫が過剰に反応することで、まぶたに炎症が起こる病気です。
小型犬で見られることが多く、まぶたの赤みや腫れを繰り返すことがあります。
また、免疫の異常だけでなく、まぶたにある「マイボーム腺」という分泌腺の炎症や閉塞が関係している場合もあります。マイボーム腺は、涙の表面を安定させる油分を分泌する部分で、ここに炎症や詰まりが起こると、まぶたや眼の周囲のトラブルにつながることがあります。
そのため、免疫介在性眼瞼炎では、免疫の反応を抑える治療だけでなく、必要に応じて抗生剤の投与や温罨法などのケアを組み合わせ、長期的に状態を管理していくことが大切です。
今回の症例では、両眼のまぶたに広い範囲の赤みと腫れが見られました。
一般的なものもらいでは片側だけに症状が出ることが多く、腫れる場所も限られることがあります。一方、今回の症例では両眼のまぶた全体に症状が見られたため、ものもらいだけでは説明しにくい状態でした。
また、アレルギーでも両側性にまぶたが腫れることがありますが、一般的には体のほかの部位にもかゆみが出ることがあります。今回の症例では、経過や症状から他の原因を積極的に疑う所見に乏しく、治療によって明らかな改善が得られたことから、免疫介在性眼瞼炎として矛盾しないと判断しました。
免疫介在性眼瞼炎の確定診断には、まぶたの一部を採取して調べる生検と病理組織検査が必要です。ただし、生検には麻酔や処置が必要になるため、すべての症例で実施できるわけではありません。
そのため、今回の症例では、特徴的な症状、経過、治療への反応を総合的に判断し、免疫介在性眼瞼炎と臨床的に診断しました。
今回の症例では、免疫抑制剤、抗生剤、温罨法(おんあんぽう)を組み合わせて治療を開始しました。
免疫抑制剤は、過剰に反応している免疫の働きを抑え、まぶたの炎症を落ち着かせるために使用しました。
抗生剤は、細菌感染の関与が疑われる場合や、炎症によって皮膚やまぶたの状態が悪化している場合に使用することがあります。
また、温罨法は、ホットタオルなどでまぶたを温めるケアです。まぶたにあるマイボーム腺の詰まりや炎症が関係している場合、温めることで分泌物が出やすくなり、まぶたの状態を整える助けになります。
今回の症例では、マイボーム腺の閉塞所見も認められたため、温罨法によるケアもあわせて行いました。ただし、マイボーム腺の機能を詳しく評価する検査は実施していないため、今回の症状との関連は臨床的な判断になります。

治療を開始してから2週間ほどで、まぶたの腫れは少しずつ引き始めました。
その後も治療を継続し、2ヶ月後には赤みや腫れが大きく改善しました。3ヶ月後には、ほぼ正常なまぶたの状態まで回復しました。
飼い主様がご自宅での温罨法に意欲的に取り組んでくださったこともあり、現在は免疫抑制剤と温罨法を継続しながら、きれいなまぶたの状態を維持できています。
今回の症例では、治療開始から1〜2ヶ月で反応が見られ、3ヶ月ほどで寛解し、その後も約半年にわたって良好な状態を維持しています
特に次の症状がみられる場合は、様子を見ず、できるだけ早く受診してください。
・まぶたの腫れや赤みが長く続いている
・何度も同じ場所が腫れる
・治ってもまた再発する
犬や猫の眼の周りの腫れや赤みは、原因によって治療方法が異なります。
山の辺いぬねこクリニックでは、犬・猫の眼の周りの腫れ、赤み、まぶたの炎症などに対して、症状や経過に合わせた治療をご提案しています。
天理市をはじめ、奈良県内で犬猫の眼の周りの腫れ・赤み・再発するまぶたの炎症が気になる方は、お気軽にご相談ください。
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