今回は「お腹の膨らみが大きくなってきた」とのことで飼い主様からご相談を受けました。触診、超音波検査で皮膚の下にある精巣の腫大を認めましたので、去勢手術で治療を行った症例についてご紹介します。
精巣腫瘍は、犬の中でも比較的よく見られる疾患の一つで、特に老犬に多く見られます。診断には、獣医師による診察と超音波検査が有効です。病理検査によって腫瘍の性質を確認し、適切な治療法を決定することが重要です。
当クリニックでは精巣腫瘍の治療にも積極的に取り組んでおり、多くの症例で治療成果を上げています。
犬の陰嚢(いんのう)にある精巣組織にできる腫瘍のことです。精巣腫瘍は、特に老犬に多く見られ、種類によっては転移することもあります。
精巣腫瘍の原因については不明な点が多いものの、去勢手術を受けていない犬の方が発生率が高いとされており、陰嚢の中に精巣が降りていない場合、降りていない精巣は腫瘍になりやすいことが知られています。また、環境汚染物質や遺伝的な要因も関与していると考えられています。
症状としては、陰嚢の腫れや硬くなることが多く、場合によっては腫瘍が破裂して出血することもあります。
一般的に、精巣腫瘍は手術による摘出が最も一般的な治療法です。手術を受ける前に、犬の年齢、体調、病理検査の結果に応じて、麻酔のリスクなどについて獣医師とよく相談する必要があります。
また、腫瘍の性質によっては、化学療法や放射線療法が併用されることもあります。治療の予後は、腫瘍の種類や進行度合いによって異なります。
去勢手術を行い腫瘍を取り除く事に成功しました。
手術後の回復には、術後の状態に応じた薬の適切な服用が必要です。また、手術後は運動や食事制限など、生活面でも注意が必要です。いつも以上に愛情を持ってたくさんの時間触れ合って楽しい時間を過ごしてあげて下さい。
精巣腫瘍の予防には、去勢手術が有効です。
去勢手術によって、精巣腫瘍の発生率を低下させることができます。
ただし、去勢手術自体にもリスクがあるため、獣医師とよく相談することが重要です。
動物たちの健康管理には定期的な健康診断や予防接種、適切な食生活や運動などが大切です。
この症例を通じて、腫瘍やがんの治療について知っていただくことができれば幸いです。
今後も、当院ではさまざまな腫瘍に対して治療に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。