今回はマダニに寄生された犬(マルチーズ)の治療についてお話ししたいと思います。
先日、トリミングサロンでマダニが見つかったということで、当院に連れてきていただいたワンちゃんの治療の様子と、マダニについての基礎知識をご紹介します。
マダニはダニの一種で、草や木の上で待ち伏せして、動物が近づくと飛びついて血を吸います。春から夏にかけて活発になることが多く、特に暖かく湿った場所に多く生息しています。散歩や遊びで草むらに入るときは、マダニに注意しましょう。
マダニは血を吸って成長し、吸血後は体から離れて脱皮を繰り返します。このとき、マダニが持っている病原体を動物に感染させることがあります。マダニが媒介する病気の中でも、特に危険なものは犬バベシア症とSFTSです。これらの病気は発症すると重篤な症状を引き起こし、場合によっては死に至ることもあります。
マダニに寄生されたら、すぐに駆除する必要があります。しかし、マダニを無理やり引っ張って取ろうとすると、口器が体内に残ってしまうことがあります。これは感染のリスクを高めるだけでなく、皮膚や筋肉などに傷をつけることもあります。そのため、マダニを取るときは専用の駆除薬を使うことが大切です。駆除薬はマダニの神経系や筋肉系に作用して弱らせ、自然に落ちるまで、あるいは軽く触って落ちるくらいになるまで様子を見てください。
今回当院に来られたワンちゃんは、幸いにも飼い主さんが事前に駆除薬を使用していたため、マダニはすでに弱っておりました。そのおかげで、軽く触れただけで取れ、マダニが媒介する病気の兆候も見られませんでした。
駆除薬はマダニを予防するものではなく、寄生された後に早期に駆除するものです。完全にマダニを避けることは難しいかもしれませんが、駆除薬を定期的に使用することで、感染や合併症のリスクを減らすことができます。
マダニは犬だけでなく人間にも危険な虫です。
散歩や遊びで草むらに入ると、マダニに噛まれる可能性があります。マダニに噛まれると、貧血や皮膚炎だけでなく、重篤な感染症にかかるリスクが高まります。マダニから身を守るためには、予防薬の定期的な投与や、散歩後のチェックが必要です。
また、マダニを見つけたら無理に取らずに動物病院で処置してもらいましょう。
当院では駆除薬を事前につけておくことで、寄生されたとしてもすぐに落とせるように予防的投薬をおすすめしています。